君と出会えた物語。
第7章*⑅
次の日の朝。
玄関を出るとヒロが家の前で待っててくれた。
「朱莉おはよ!早く会いたくて来ちゃった。」
いつもよりテンションの高いヒロ。
私も起きてから会えるのがすごく楽しみだったから嬉しい。
「おはよう!」
門を開けて家を出る私に自転車の後ろをポンポンとして座るように合図する。
「ちゃんと掴まれよ。」
いつもの言葉に私は勇気を出してヒロのベルトの辺りを掴む。
ヒロは少し笑うと、
「落ちるからしっかり掴まっとけよ〜。」
そう言いながら私の手を前に持っていって抱きつくような形にして自転車を漕ぎ始めた。
昨日からドキドキしすぎて心臓が持たない。
「…分かった。」
恥ずかしいけど嬉しい。
ヒロの体温がシャツ越しに感じる。
温かくて広い背中に安心感を覚えた。