君と出会えた物語。
学校に近づくと私とヒロの姿を見て同じ学校の子たちが驚いている。
ヒソヒソと話す声は風でなにも聞こえない。
「ヒロ〜朱莉〜!おはよーっ」
今日も裕太の大きい声が正門前から聞こえる。
みんなの前でヒロは自転車を止めた。
急に止まったから私は抱きついてる手に力を入れて気付く。
「あ…。」
思わず声が出た。
抱きついたまま来てしまったんだ。
恥ずかしくて顔がかぁーっと熱くなった。
みんなはヒロに抱きついている私を見て目を大きく見開いて丸くしている。
慌てて自転車を降りたけど私の肩をヒロがぐっと引き寄せた。
「俺ら付き合い始めたから。」
私の顔を見てから照れ臭そうにヒロが言うと、
「朱莉、おめでとー!」
江美が抱きついて喜んでくれた。
結海も私の頭を撫でてくれる。
通り過ぎる女子の視線は痛かったけど、喜んでくれる友達にそんなの気にはならなかった。
大好きな友達に喜んでもらえて、彼氏にも喜んでくれる友達が居て。
「ヒロ、ゆっくり聞かせろよー。」
裕太はヒロに肘でトントンと冷やかしさしながら駐輪場について行く。
達也くんはその後ろを歩きながら今日はいつも通り無愛想ながら少し微笑んでるように見えた。