君と出会えた物語。



結海は少し考えてからこう言ってくれた。



「私、一緒に行くよ!」



嬉しい…



嬉しいけど…



春菜って子とちゃんと2人で話さないといけない気がする。



「気持ちは嬉しいけど、私ちゃんと伝えたい。」



真っ直ぐ結海の目を見て言うと、困ったように笑ってくれる。



相変わらず優しいな。



私の気持ちを優先してくれて、分かってくれて、感謝しかない。



「ここから見てる。だから、なんかあったらすぐ行くから。」



江美もそう言って送り出してくれた。



2人ともありがとう。



下駄箱に近づくと口々に嫌味を言われる。



けど、今日は昨日みたいに怖じけずいたりしない。



真っ直ぐ春菜って子の前に向かった。



「なに?その顔。ムカつくわ〜。」



そんな私を見て嫌悪感を口にする。



「あの…春菜、ちゃんでいいのかな?…あのね、私ヒロと付き合うことになった。昨日近づくなって言われたけど…それは出来ない。」



春菜ちゃんは睨んでから嫌そうな顔をしてそっぽ向いてしまった。



「は?急になにわざわざ嫌味?…本当にムカつく。」



ドンっ



思いっきり肩を押されてバランスを崩しそうになった。



けど、倒れないように足に力を入れる。



なんとか倒れずに済んだから話を続けた。



「そうじゃない。ちゃんと春菜ちゃんは言ってくれたから私も言わないとって。私もヒロの事好きだって。」



好き同士仲良くなりたいとかじゃないけど、今のままでいいとも思わない。



私の自己満足かもしれないけど、面と向かって伝えたかった。



「本当に性格悪い。こんな奴もうどうでもいいや…行こっ!」



階段を駆け上る春菜ちゃんの目には涙が溜まっているのが一瞬だけど見えた…。



泣いていることを他の誰にもバレないようにその場を去っていった。



本当に好きなんだろうな。



ヒロの事。



でも、だからって私はヒロの事は譲れない。



譲りたくない。



もし、逆の立場だったら私はどうなってたんだろ…。



私は自分の心にしまって相手にも言えないんだろうな。



暴力は良くないけど…面と向かって言える勇気はすごく尊敬してる。



春菜ちゃんと別の形で出会いたかったな。



なんて私がこの立場だから思えること…。



私ってどこまでも自分勝手。


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