君と出会えた物語。



1人残された下駄箱の前でそんな事をぼーっと考え込んでしまう。



「ねぇ…大丈夫?」



春菜ちゃんが去ったのを見て2人が駆け寄ってきてくれたみたい。



「朱莉、なんで泣いてるの?なんか言われた?」



泣いてる?



頬に手を当てると顔が濡れていた。



泣く事なんて何もなかったのに。



「ううん。何にも言われてないよ。」



春菜ちゃんに私は同情してしまっていたのかな。



それとも、自分勝手な私に泣いていたのかな。



考えても分からなかった。



キーンコーンカーンコーン…



「授業始まっちゃうね…朱莉いけそう?」



「うん。大丈夫!」



心配ばっかりかけてしまってる私にいつでも優しい2人。



精一杯の笑顔で答えることしか出来なくてごめんね。


< 46 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop