君と出会えた物語。
順風満帆って言葉がぴったりなくらい充実した日々を送ってる。
クラスの子達も美優のおかげで少しずつ話せるようになってきたし。
「お前らもうすぐ合宿だから気引き締めとけよ!以上。」
「起立、礼。」
『さようなら〜』
合宿か...。
学校行事で楽しみって思えるのって初めてかも知れない。
「あ〜か〜り!帰ろーぜっ」
「うん。ちょっと待ってね。」
いつも片付けるのが遅い私をヒロは隣にしゃがんで待っていてくれる。
その姿が自慢したいくらい可愛くて愛しい。
「あの...ヒロちょっといい?」
ヒロにそう声をかけてきたのは同じクラスの浅野奈々(あさの なな)ちゃん。
浅野さんとヒロは合宿で同じ班になってからたまに話してるのを見かける。
「私、これ片付けてるから行ってきていいよ。」
「わりぃ。すぐ戻ってくるな!」
2人が教室を出て行くのを見送ってから、帰り支度を始める。
「朱莉、あれなに?」
江美が不満そうな顔で前の席に座った。
「合宿の話じゃない?私もヒロと一緒が良かったな〜」
「ふぅん。朱莉は江美と達也...あと何と言っても今1推しの龍野(たつの)くんと一緒なんだから元気出して!」
くじで決まった班は運がいいって言ってもいいくらい。
だけど、ヒロと二泊三日も離れ離れになるのが寂しい。
「うん。寂しいけど、江美と一緒になれたからすごく楽しみ!」
「可愛いこと言ってくれるじゃん。」
江美は私の頬を両手でぎゅーっと挟んで笑ってる。