君と出会えた物語。
side ヒロ
「なんだよ、わざわざこんなとこまで。」
奈々に連れられていつもサボる空き教室に来ていた。
朱莉を待たせてるし、早く戻りたいのが本音。
「ヒロさ、下田朱莉と付き合ってるって本当?」
「本当だけど。」
「へぇ〜。本気なの?あの子のこと。」
「だったらなに?」
訳分かんない質問ばっかりにイライラする。
「別に。」
そう言って窓際の席に座る奈々にさらにイライラする。
「用ないなら戻るぞ。」
「あのさ、私中学の頃1回自殺しようとしたんだよね。ヒロに拒絶されまくって。」
自殺。
何言ってんのこいつ。
「でも、しなかったんだろ。」
「しなかった。ヒロがもう1回こっち見てくれるんじゃないかって思うと出来なかった。」
「何が言いたいのか分かんないんだけど。」
奈々は眺めていた窓に近づいて鍵を開けた。