君と出会えた物語。
第8章*⑅
合宿が近づくにつれてヒロとは会えない日が多くなった。
けど、一緒に居れる時はたくさんキスしたり抱きしめてくれたりする。
昨日ヒロと帰った時ヒロはずっと無言だった。
私の家の前に着くとぎゅっと抱きしめてじゃあなって...。
なんでひろはあんなに悲しそうな顔をしてたんだろ。
「今日から合宿なのになんでそんな暗い顔してるんだ?」
「え!?」
達也くんに肩をポンっとされて自分がボーっとしていたことに気がつく。
「なんか最近色々あったな…なんて思い出してた!」
笑って答えると達也くんはニヤっとしてる。
最近は心を開いてくれたのかたまにこういう顔も見せてくれる。
「ヒロと付き合ったりー?」
「そうそう。ヒロと付き合ったり。」
「ヒロとキスしたりー?」
「ヒロとキス…キス!?なんで!」
驚いた。
誰にも言ってないのに…。
ていうか、達也くんがこんな裕太みたいなこと言うとか珍しい。
「さぁなんでだろうね?まぁとりあえず朱莉が笑ってくれて良かった。」
「え?」
思ってもいなかった達也くんの言葉。
「なんでもないよ。」
そう言っていつもの無愛想な顔でバスに乗っていった。
気遣ってくれたのかな?
バスの座席に座ると江美が嬉しそうにもうお菓子を食べている。
「合宿楽しみだね!」
「うん、楽しみだね。」
くじ引きで決まった席は奇跡的に江美の隣だった。
喋ったことない子の隣だったらどうしよう。
って、不安だったけど隣が江美に決まってすごく嬉しかった。