君と出会えた物語。
夜ご飯は班ごとだけど、クラスみんなで長いテーブルで食べるらしい。
ヒロと喋れるかな…。
「ヒロと喋れるかな?とか思ってるでしょー。」
江美が私の思っていたことを口にする。
「え!?なんで分かったの?」
いつも私の思ってることを言い当てる江美に私は毎回驚かされる。
顔に書いてあるって言うけど…私はみんなが何考えてるかなんて分かんないのに。
「当たり前じゃん!朱莉のことはお見通しだよ。」
笑って手を繋いでくる江美は本当に可愛い。
そのまま江美に引っ張られて食堂に移動した。
食堂に着くと既に班のメンバーと席に座るヒロを見つけた。
ヒロは同じ班の浅野さんと仲よさそうに話していた。
正直少し妬くけど…ヒロは誰とでも仲がいい。
そういうところも私は好きだ。
話しかけるのは諦めて席に座った。
「では、みんな揃いましたよね。それではいただきます。」
先生の声に続いて口々にいただきますっと言ってご飯を食べ始める。
「おいしー!」
「間違いない!これも美味いよ、江美ちゃん。」
キャッキャッしながら龍野くんと江美はご飯を食べている。
江美は龍野くんと話したいってずっと言っていたから話してるの見ているとほっこりする。
すごく気があうみたいだし、龍野くんのことはあんまり知らないけどお昼に助けてもらって優しいなって思ったから江美が好きなら応援したいな。
「朱莉さ、今日元気なかったけどなんかあった?」
「え!?」
突然の達也くんからの質問にお箸を落としそうになった。
「あ、いやなんとなくなんだけど...。」
「ううん。元気だよ!達也くん心配してくれてありがとう。」
なにがってはっきり言えないし誤魔化してしまった。
「そっか。なら良かった。」
そう言ってまたご飯を食べ始める達也くん。
突っ込まないでいてくれる優しさに今は甘えさせてください。