君と出会えた物語。
みんなで夜風を浴びて落ち着いた私を部屋まで送ってくれた。
「朱莉!」
江美は涙を目にいっぱい溜めて私をぎゅーっと抱きしめてくれた。
こんなに心配してくれてたなんて…。
いつも私は私のことばかりで。
なのに、みんなは私のことを考えてくれている。
「ごめんね、江美…。」
「ううん。無事で本当に良かった。」
私なんかがって思ってしまいそうになる気持ちをいつも前向きにしてくれる。
みんながいないと私ってダメなんだな。
「じゃ俺らは部屋に戻るわ!あとは、女の子同士の方がいいと思うし。」
「裕太と達也くん…ありがとう。居てくれて本当に良かった。」
2人は自分たちの部屋へ戻って行った。
後ろ姿に何度もありがとうって、心の中で呟いた。
部屋に戻っても江美は何も聞かないで居てくれた。
でも…。
「あのね…江美。さっきの事なんだけど…。」
「うん。なんて言ったらいいのか…。」
江美は私からこの話題を振ると思ってなかったみたいで少し驚いてたけど、落ち着いた声。
「昔の話をね、達也くんと裕太に聞いたの。」
「そっか…。ちゃんと伝えていれば良かったね。ごめんね。」
辛そうな顔をする江美。
江美を責めるつもりなんて全くない。
あんだけ仲が良かったし、そのことを言ってこじらせることになるのはって思ってくれたんだろう。
「ううん。そのことは全然気にしてないよ。それよりも、明日からどうしたらいいのか分からないの…。」
明日が来るのが怖い。
ヒロと顔を合わせるのは気まずい。
「そうだよね…。明日も班は違うから顔を合わせることはないと思うけど。落ち着いて朱莉がヒロと話せるってなるまで私がずっと一緒に居るから。」