君と出会えた物語。
ヒロの腕に掴まる奈々。
「は?なに言っちゃってんの?」
「あのさ…部外者は黙っててくれない?」
部外者?
ふざけんな。
「部外者だろうとなんだろうと私は朱莉の友達だから!朱莉を傷つける奴は許せない。」
私の言葉は奈々まで届かない。
奈々はヒロにキスをすると、
「返事はいつでもいいから。」
そう言ってエレベーターで降りて行ってしまった。
頭を抱えるヒロはその場にしゃがみ込んだ。
「私はそんなの許さないから。」
エレベーターのボタンを押して上がってくるのを待つ。
もうヒロと話すことはない。
ここに居てもイライラするだけ。
エレベーターに乗り込んでボタンを押す。
ヒロのことを嫌いな訳じゃない。
こんな奴だけど私の友達。
けど、今だけは友達として腹が立つ。
「…朱莉のこと頼むな。」
「言われなくてもそのつもり。」
どういうつもりでヒロが言ったのかは分からない。
けど、私が朱莉を見捨てることはない。