君と出会えた物語。



バンっ



何かに打つかって後ろに倒れた。



下を向いて走っていたから前なんて見てなかった。



「大丈夫...?」



しゃがんで手を差し出してくれる子犬みたいな顔立ちの男の子。



そんなに痛くないはずなのに涙が溢れて止まらなかった。



「え、え...!どっか怪我した?」



「大丈夫です...。前見てなくてごめんなさい。」



「こちらこそごめんね。立てる?」



頷いてもう一度差し出された手を掴む。



可愛い顔してるのに強い力に男の子なんだって気付かされる。



「ねぇ...この後時間ある?」



「...え?」



突然の誘いに戸惑いで困惑する。



「ナンパじゃないから安心して!行こっか。」



くしゃっと笑う男の子は私の返事なんて聞かずに手を握ったまま歩き出す。



振り払うことだって出来たけど...そうしなかった。



もしかすると私はヒロとこの人を重ねてしまったのかもしれない。


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