君と出会えた物語。
「同い年じゃん!じゃあ、俊って呼んで俺は朱莉って呼ぶ〜。西高なんだね、近いね。」
「俊...。」
「なあに?」
なんでか嬉しそうに聞き返す俊に私も笑顔になる。
「やっと笑った顔見れた!朱莉は可愛いんだから笑ってる方がいいよ。」
「え...そうかな...。」
久しぶりに自然に笑った。
俊は恥ずかしいこともさらっと言うから私が恥ずかしくなる。
「うん!正直一目惚れ。」
「え!?」
「なんてね。」
笑いながら頭を撫でてくる俊。
初対面とは思えないぐらい人懐っこいから心を簡単に許す事ができた。
私みたいな難しい人間でもこうなれるなんて俊はすごいな...。
俊のおすすめのオムライスを綺麗に平げて手を合わせた。
「ここすごく美味しかった!初めて来たけど、絶対また来る。」
久しぶりのご飯でお腹は苦しいくらいだけど、それでも食べてしまうくらい美味しかった。
「だろ?ここ俺ん家なんだ。いつでもおいで。」
「え!?そうだったの?」
「うん。人足りてなくて俺もよくここで手伝ったりしてる...あ!朱莉バイトとかしてんの?」
なにかを思いついたみたいで少し前のめりになる俊。
「え?バイトとかしたことない...けど?」
「じゃあさ、うちでバイトしてみない?してくれたらすごく嬉しいんだけど...どうかな?」
正直バイトしなくてもお母様からお小遣いは使い切れないぐらいもらってる。
でも、夏休みも部活とかしてなくて登校日以外暇だし...
俊には今日すごく良くしてもらったし...
忙しくなればヒロのこと忘れられるかもしれない。
「基本暇だし...未経験でよければ。」
「本当に!?ありがとう!ちょっと親父に言ってくる。」
俊はカウンターの中のお父さんとは思えないぐらい若そうな見た目の人に駆け寄って行った。