君と出会えた物語。
第11章*⑅
次の日もその次の日も毎日俊の家の虹というお店でバイトをした。
休みの日も虹で過ごす。
ずっと雨が降っていた私の心が晴れた気がする。
「朱莉ちゃん今日もお疲れ様!もう上がっていいよ。」
「はいっ!これが終わったら上がります。お疲れ様です。」
洗っていたお皿の最後の一枚を流し終える。
よし。
「朱莉ちゃん、明日の花火大会行かないの?」
エプロンを外して更衣室に行く途中、俊パパに話しかけられた。
「明日なんですね、花火大会。特に予定もないから...明日も虹に遊びに来ます。」
「そっかぁ。朱莉ちゃんは彼氏とかいないの?」
ドクン...
「い、ないです。」
ずっと忘れていた。
ヒロのこと...。
もう大丈夫って思ったのにな。
「ごめんね。立ち入りすぎかな...。」
すごく申し訳なさそうな俊パパ。
私こんなに優しい人にまでなんて顔させてんだろ。
「いえ。全然大丈夫です!」
いつもの笑顔で返すと俊パパは安心させるように頭を撫でてくれた。
俊パパの手は温かいな。
着替えを終えてホールに戻る。
「俊パパまた明日来ます。お疲れ様です。」
「はいよ。また明日!」