君と出会えた物語。



今日はお休みだから昼までゴロゴロと時間を潰して、ゆっくり準備して夕方に家を出た。



家を出ると浴衣姿の子供やカップルがたくさん歩いている。



私には関係ないけど。



虹に向かうと店内はまったりしていた。



「あ、朱莉ちゃん!ちょっとここ座って待ってて。」



待ってて?なにを?



裏から俊パパと入れ違いで俊が出て来た。



「朱莉、花火行くぞ!」



「え!?花火?」



俊は私の手を掴んで店を出た。



「ごめんな。でも、朱莉と花火行きたくて...迷惑だった?」



「ううん。迷惑じゃないよ。」



振り返って困った顔で顔を覗き込んで来る俊に笑いながら言った。



「そっか!良かった。じゃあ花火行こっか。」



繋いでいた手は離れてしまった。



そのことに寂しさを覚える。



もしかして好き?なのかな...



「朱莉?聞いてる?」



「え?ごめん。考え事しちゃってた。」



俊は眉を下げたけど、すぐに笑顔に戻って指を差す。



「飴買ってあげるから元気出して!」



「ち、違うの。元気だよ。本当に!」



「そっか、良かった。じゃあなにがともあれ飴買って来る。」



俊は私の頭をぽんっと撫でてりんご飴のお店に走ってく。


< 76 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop