君と出会えた物語。
「美優〜ご飯食べよ〜。」
さっきまで前田さんと私に目を向けていたクラス中が教室に入ってきたスタイルの良い可愛い女の子の声に振り返る。
「あいちゃんは相変わらず可愛いよね〜誰かさんと違って!」
「うん?なんの話?」
前田さんの言葉に首を傾げてるあいちゃん。
誰が見ても本当に完璧な女の子。
「あ、あい!…行こ。」
気まずそうな片岡さんの声が聞こえて思わず下を向いたとき、
「下田さんお昼食べよ!」
急に腕を掴まれた。
「!!!なんで...。」
私よりも先に声を出したのは前田加奈だった。
「なんでヒロが下田と食べるの?」
みんなにヒロと呼ばれてる人物。それは柳田くんだ。
「うーん。気まぐれ?」
あからさまに不機嫌そうな前田さんに柳田くんはそう答えて固まってる私の方を見てニコッと笑った。
「そんな奴と食べるなら私たちとご飯食べようよ。」
「前田さんには言ってないから。ねぇ、下田さんいいよね?」
「え…あの…。」
状況が理解できずにいると、そんなの気にすることなく柳田くんは腕を引っ張って教室を出た。
廊下を歩くだけで注目される。
私の腕を掴んで歩くこの人が何を考えてるのかなんてたぶん誰にも分からない。
けど、内心ホッとしていた。
あのまま教室でご飯食べられそうになかったから…。
ただただ、柳田くんに連れられるがまま歩いた。