君と出会えた物語。
第12章*⑅



花火大会の日は色々あった。



だから、今日の登校日は少し気が重い。



「朱莉!おはよう。」



門の前には江美と結海がいた。



「なんで...。」



「だって、私たち友達じゃん。みんなであのあと話し合ったの。ヒロには裕太と達也がいるから私たちがいなくても大丈夫だし...なにより朱莉の事が心配だから。」



「朱莉が嫌じゃなかったらまた一緒に居てくれない?」



2人の優しい気持ちが嬉しい。



正直もう一緒に居れるなんて思わなかった。



あんなひどいこと言ったのに話し合って一緒に居るって決めてくれたことが嬉しい。



1日でも早く2人にここまでさせなくて済むようになりたい。



元はといえばヒロとの問題に巻き込んでしまったのだから...。



「2人ともありがとう。ごめんね。...私、普通にヒロとも過ごせるように頑張るから少しの間だけ甘えさせてほしい。」



「ずっと一緒にいるって言ったのは江美だもん!当たり前じゃん。」



「今度は私もいるから、なんかあったら言ってね。」



正門の前で3人で抱き合った。



2人がいてくれるなら心強い...。



本当に大好き。



「あのさ、朱莉と俊が知り合いってビックリしたんだけど!」



教室に向かいながら結海が俊の名前を言った時ドキッと心臓が跳ねた。



「江美も思ってた。」



「夏休みに偶然出会って今虹でバイトさせてもらってるの。」



「そう言えばそんなこと俊が言ってた気がするかも。」



え…。



情報早いな…。



まぁ隠してたわけじゃないからいいんだけど。



「あ、あのさ…俊にね。好きって言われたの。」



「「え!?」」



2人とも同時に驚いてる。



この話は知らなかったんだ。



もしかして聞いてるかもって思って言ってみたんだけど…。



「それで、それで?」



江美が興味津々な感じで問いかけてくる。



昔からの知り合いだから気になるよね。



「今はヒロの事忘れられなくて…でも、俊が振り向いてもらえるように頑張るって言ってくれてる。」



「まじか。俊にしては格好良いこと言うじゃん。」



「江美たちの知ってる俊っていつも馬鹿みたいにはしゃいでるイメージしかないもんね。」



2人は私の知らない俊の昔の話とかたくさん教えてくれた。



相変わらず優しいんだなって思うことばっかり。



「あ、先輩だ!ちょっと話してくる。」



江美が3年の教室の前にいる背の高い男の人に話しかけてる。



「え、あの人誰?」



3年の教室の前だし…たぶん3年生なんだろうな。



江美先輩に知り合い居たんだ。



「なんか江美の好きな人らしいよ。」



「え!?龍野くんは?」



前は確か龍野くんが好きって言ってた気がするような…。



「あぁ…江美はすぐ好きな人変わるからあんまり気にしないでいいよ。」



そう…なんだ。



「あのね、実は達也に告白しようかなって思ってるの…。今度ね!今じゃないよ、タイミング見て。」



私の教室に着いた時に結海が言った。



「え、本当に!?応援する。」



「ありがとう。じゃあまた後でね。」



話していない間にそれぞれ色々あったみたい。



久しぶりにたくさん話せて良かったな。



そんな感じでホームルームが始まった。


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