君と出会えた物語。
第13章*⑅
「ちゃんと掴まってて。」
「うん。」
私は座ってるところの前を掴んだ。
ズキンっ
ヒロ...。
ううん。忘れなきゃ。
「朱莉!聞いてる?」
「へ?」
ヒロのことずっと考えてて上の空だった。
「いやご飯味どうだったって。」
「あ、ごめん。すごく美味しかったよ。」
「良かった...。”うん”しか言わないから心配した。またいつでも言ってくれたら作るな。」
俊の顔が見えないから怖い。
「ごめんね、考えごとしちゃってた。俊のご飯また食べれるの楽しみにしてる。」
「おう。」
俊のご飯は本当に美味しかったのに申し訳ないな。
これじゃ伝わらないよね。
「あの...俊!本当に美味しかったから。」
「おう!」
俊の声がさっきよりも明るく聞こえる。
「あ、俊。私の家ここ。」
「え?ここ!?やば...。」
「うん。」
まぁそういう反応だよね。
初めて見た人はいつものことだし。
「いや...驚いた。すげーな。」
「そんなことないよ。」
「何部屋あんのここ!まじすげー。」
俊は興奮を抑え切れないくらいはしゃいでいてつい笑ってしまう。
「あれ?朱莉...?」
「お母様!」
今帰ってきたのかキャリーバックを引いてるお母様が呆然と立っていた。