君と出会えた物語。
トゥルルル…トゥルルル…
「はい…。」
あの後、家に帰り部屋で泣き疲れて寝てしまっていた。
「もしもし、お母さんだけど寝てた?」
部屋の時計は深夜の2時を表示していた。
「今起きたところです。」
泣いて寝たから目が腫れてる。
袋を破くと温まるアイマスクをつけてベッドに再び寝転がった。
「あのね、家今月中に出る事になったの。売りに出したらすぐ買い手が見つかって…。」
「そうなんですね…。すぐ見つかって良かった。」
思ってもいないことが口から勝手に出てくる。
「うん…。でね、引っ越し先会社の近くに住めたらと思ってて少し遠くなるんだけどどうかな?あかりが嫌なら近くで探すけど。」
会社の近くってことは隣の県か…。
電車ではさほど遠くないけど、学校は転校になるはず。
「全然大丈夫。お母様はその方がいいでしょ?」
「学校…転校にしないとだよ?お友達もできたのにいいの?」
「…うん。大丈夫。」
江美と結海と離れるのはすごく寂しいし辛いけど…お母様の負担になったり離れたりしたくない。
「分かったわ。引っ越しの準備と学校の先生に話しとくから友達にちゃんと伝えておきなさいよ。」
「はい。またなんかあったら電話してください。」
そう言って電話を切った。
そしてトークを開いた。
朱莉>話したいことあるんだけど…お昼ぐらい会えないかな?
江美>登校日だし会えるじゃんっ!
結海>終わってからゆっくり聞くよ!!
登校日か…忘れてた。
早く2人に会いたい。