危険なあなたともう一度…
こんな風に男の人とメールとか初めてだから緊張もするけど梓さんとメールしてることに一番嬉しくて笑が浮かぶ。

梓さんは24歳って言ってたよな…
大人の男性なんだよね。凄くスーツが似合う大人の男性だったな。

一体なんのお仕事をしてるんだろう…。

"18か〜若いね^^*"

「…聞いていいかな?」

"梓さんは何のお仕事をされてるんですか?"

10分後…

"どうして?"

"会う度にスーツ着てたから気になって^^;"

その返事を送ると梓さんからの返事は来なくなってしまい聞いちゃいけないことだったのかもしれないと後悔する。

お風呂から上がっても梓さんからのメールはなく少し落ち込みながらベッドに寝そべる。

"惚れそう"

"冗談だよ"

あの梓さんの言葉を思い出して何故か少し傷付いてる自分がいることに気付く。

なんで梓さんはあんな事を言ったのだろう…
大人の男性はみんなあんな感じなのかな?

なんて考えていたらいつの間にか寝ていて気付いたら外は明るくなっていた。

起き上がりスマホを見ると新着メールが入っていて咄嗟にメールを開くと梓さんから夜中の3時に来ていた。

"今は内緒"

今は内緒ってどういう事だろうか?
いずれは教えてくれるってことだよね?

もしかしたら本当に知られたくないのかもしれない…。

そうだよね。初めてメールした相手に個人情報を教えるなんて嫌だよね。

"おはようございます。

言いたくなければ大丈夫です。"

送信と…ちょっと素っ気なかったかな?
でも、きっと言いたくなかったんだよね。

私は制服に着替えて髪を整えていると梓さんが大人の男性なのをふと思い出してアイロンを手に取り軽く巻き髪にしてみた。

巻き髪とか滅多にしないから少し違和感があるけど少しは大人っぽく見えるかな?

私は化粧も少ししてみる事にしてアイブローで眉毛を軽くかいて薄くアイシャドウを乗せてマスカラをする。

真希が誕生日にくれたピンクオレンジのグロスを塗って完成。

化粧もほとんどしないから違和感しかない。

「…大人か…」

「羽久安?起きてるの?」

「あ、今行くー!」

私は化粧道具をしまいグロスだけ鞄に入れてリビングに下りる。

「あら、今日一段と可愛いじゃない」

「ちょっと…頑張ってみた」

「なになに?彼氏でも出来たのかしら?」

「ち、違うよ!」

「あら残念」

お母さんは私をからかいながら私に朝食を出してくれたのをいつも通り完食する。

歯を磨いて学校へと向かう。

学校に着くと前を歩く真希と一弥くんが居て私のは真希に駆け寄る。

「真希おはよ」

「あ、羽久…あ?」

「…これは…やばいな」

「変かな?」

「ううん!超可愛い!」

「ありがとう」

「一弥もそう思うよね?」

「そうだね」

「でも、どうしたの急にオシャレしちゃって?男子からの視線が一段と痛いよ」

「いや、なんとなく?」

「ふーん」

真希は私に疑いの目を向けてくるけど真希はきっと何とく察してるんだろうな。

私はなれない違和感に少しソワソワする。

教室に着き一弥くんとわかれて真希と教室に入るとクラス中から視線を浴びる。男子は顔を赤らめて私を見ていて虫唾が走る。

「男子達トリコじゃん」

「嬉しくない」

「でも、私もビックリよ」

「へへっ…」

「…梓さんが原因してるとか?」

「…実はね」

「やっぱりね」

「うん」

「…好きなの?」

「それは違う気がする…」

「あのさ…一弥にも聞いたんだけど桐生って苗字は…ご」

キーンコーンカーンコーン…

「あ、なに?」

「いや!なんでもないよ!」

「そう?」

真希は不安そうな顔をしながら自分の席に戻って行き私は不思議に思いながら1日を過ごした。

一体真希は何を言いたかったのだろうか。

お昼休み真希と2人でお弁当を食べているとふとメールの存在を思い出してポケットからスマホを出すとメールが来ていた。

"今日会えたりするかな?

話して置きたいことがあるんだ"

「今日か…」

"学校終わりなら。

何時に何処に行けばいいですか?"

メールを送ってお弁当を食べ進めて今日会えることに嬉しさがある。今日ちょっとオシャレして来て良かったかもしれない。

「羽久安嬉しそうだね」

「放課後に梓さんに会うんだよね」

「…そっか」

「なんか真希朝からずっとそうだね?」

「あのさ…梓さんは何のお仕事してる人なの」

「それが内緒って言われたんだよね」

「…その人に会わない方がいい」

「え…真希?」

「羽久安知らないの?」

「なにを?」

「桐生梓って…あの桐生組の人間だよ?」

「え…」

「桐生組は関東一の極道を張る強極だよ」

「…っ」

「そんな危険なピンクの所に羽久安を行かせる訳にはいかない」

桐生組…私でも耳にした事があるヤクザだ。
確かに梓さんの苗字は桐生だけど梓さんはたまたま桐生って名前なだけかも知れない。

でも…真希の目は嘘をついていない。
もし、梓さんが本当に桐生組の人間ならば…一体梓さんは何故私に近寄ったの?

「桐生梓は…桐生組の次男で次期組長となるお兄さんがいるらしいの次男だとしてもそれだけの力はある人物よ」

「…聞いたことはあるよ」

「だったら尚更桐生組の恐ろしさを知ってるでしょ?悪いけど…会わない方がいいし今後一切関わるのをやめた方がいいよ」

「…っ」

真希の言ってることは正しいし誰だってそう言うに決まってる。私ですら真希の立場ならそう言うに決まってる。

でも、なんで梓さんは違うって信じたいって期待してしまうんだろう。

すると私のスマホにメールが来てそれを見ようとスマホに手を伸ばす手を真希に止められる。

「…だめ羽久安」

「…っ…」

「羽久安に危険なめに会って欲しくない」

私はスマホを鞄にしまい梓さんからのメールを無視してしまった。真希はホッしたように微笑んでくれた。

梓さんへの罪悪感を抱きながら放課後までを過ごした。梓さんの事が頭いっぱいで授業が頭には入ってこなかった。

真希は委員会があるから待っててと言い残して私は教室で待つことにした。

教室で課題をしていると鞄でブーブーとスマホがなり始めて心臓がひと跳ねする。恐る恐る鞄からスマホを出して見ると梓さんから電話がかかってきている

「…っ」

不在着信として切れたと思ったらまたすぐかかってきて私は真希を裏切る訳にはいかないとスマホを鞄にしまう。

しばらくするとバイブ音は鳴り止み私はホッと一息を吐く。落ち着こうと自販機に向かい紅茶を買い教室に戻り紅茶を飲む。

「…ごめんなさい」

梓さんに申し訳ない気持ちがたくさんでやるせない後悔でいっぱいだ。

真希の話が真実ならば梓さんが仕事を内緒にしてる意味も理解が出来る。

でも、梓さんが悪い人だと思えない。
どうしてこんなにも梓さんのことを考えてしまう自分がいるのだろうか。

私に笑いかけてくれる梓さんの笑顔が大好きで自然と自分も笑顔になれて凄く胸が苦しくてドキドキが止まらなくて…

「羽久安?」

「あ…真希終わったの?」

「うん、今日会議だけだったからね」

「そっか」

「これからスタバ行かない?」

「いいね」

「決まり!行こいこ!」

私は真希と一緒に学校を出てスタバへと向かう。私の家の近くにあるスタバにむかっていると真希が急に立ち止まり

「あの人めっちゃ美男子」

「ん?…え…」

「どうしたの?羽久安?」

「…梓…さん」

「え、あれが…?」

「うん…」

私と真希は歩道沿いの壁に寄りかかる梓さんを見つめていると梓さんが私と真希に気付いて私に歩み寄ってきた。

真希はそれに警戒して私の前に立って梓さんを睨んでいた。

「何度も電話したんだけど気付かなかったのかと思ったけど…そうじゃなさそうだね」

「…あの、その…」

「羽久安に今後一切関わらないでください」

「ま、真希!」

「これくらい言わないとダメだよ」

「でも…」

「桐生梓、あなたの事は知っています。汚れた世界にいるあなたが何故羽久安を?これ以上羽久安に近寄らないでください」

「…っ」

「…そっか。聞いたんだね?連絡して来なかったのは俺が怖いからなんだよね?」

「…それは…」

「羽久安は純粋で綺麗な女の子なんです。だから羽久安には」

「わかったよ。」

「え」

「今日会いたかったのはその事について話すつもりだったけど話す手間が省けた」

「…っ」

「うん…その方がいいと思う。羽久安は俺の側にいない方が身のためだからね」

「…梓…さん」

「良かったじゃん羽久安!物分りのいい人みたいで安心したよ」
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