蜜月は始まらない
昨日むつみ屋で初めて日比谷さんと顔を合わせた華乃は、相手が芸能人とあってかなんだかいつもよりはしゃいだ様子でかわいかった。
おかげで俺の気分も上々。勧められる酒を断る回数が自然と少なくなり、結果翌朝の今寝坊してしまったようだ。
「す、錫也くんっ、あの、ほんとにちょっと苦しいです……っ」
「あ。悪い」
腕の中から聞こえたくぐもった声に反応し力を緩めると、俺の胸で潰れかけていた華乃がぷはっと顔を上げた。
危ない危ない。どうやら寝ぼけて、いまいち力をコントロールできていなかったらしい。
以前試合中にバットを折りながらもボールをスタンドインさせ、その後ダイヤモンドを1周してベンチに戻った際「ゴリラかよ」と真顔で宗さんに言われたことを思い出し、反省する。
けれど華乃がそこで、ほんのり頬を赤く染めた。
「わる……くは、ないんだけどね。錫也くんにぎゅっとされるの、好きだから」
俺の脳内で、ピッチャーがマウンドから投げたストレートの豪速球が打者の振ったバットをかすりもせず、ズバンと勢いよくキャッチャーミットの中へと収まった。
「……華乃」
「うん?」
「結婚しよう」
「もうしてるよ?!!」
おかげで俺の気分も上々。勧められる酒を断る回数が自然と少なくなり、結果翌朝の今寝坊してしまったようだ。
「す、錫也くんっ、あの、ほんとにちょっと苦しいです……っ」
「あ。悪い」
腕の中から聞こえたくぐもった声に反応し力を緩めると、俺の胸で潰れかけていた華乃がぷはっと顔を上げた。
危ない危ない。どうやら寝ぼけて、いまいち力をコントロールできていなかったらしい。
以前試合中にバットを折りながらもボールをスタンドインさせ、その後ダイヤモンドを1周してベンチに戻った際「ゴリラかよ」と真顔で宗さんに言われたことを思い出し、反省する。
けれど華乃がそこで、ほんのり頬を赤く染めた。
「わる……くは、ないんだけどね。錫也くんにぎゅっとされるの、好きだから」
俺の脳内で、ピッチャーがマウンドから投げたストレートの豪速球が打者の振ったバットをかすりもせず、ズバンと勢いよくキャッチャーミットの中へと収まった。
「……華乃」
「うん?」
「結婚しよう」
「もうしてるよ?!!」