蜜月は始まらない
「根本さんもお疲れさま。長いこと話してたおばあさんって、レファレンスの方?」
「そうだったんですけどねー、途中から世間話になってどこで切り上げるべきか悩みました」
「あはは。根本さんて話しやすい雰囲気だから」
「え~長話は困りますー」
会話しつつも、テーブルを挟んだ彼女と向かい合わせになるパイプ椅子に腰かけた。
弁当箱を入れている巾着袋の紐をほどいていると、前方からやけに視線を感じて顔を上げる。
「根本さん? どうかした?」
「花倉さんって、もしかしてお家引っ越されたんですか?」
「えっ」
予想外の質問に、思わず固まってしまった。
根本さんはコンビニで買ってきたらしいサンドイッチのパッケージを開けながら、さらに続ける。
「今朝、駅前通りかかったときちょうど駅から出てきた花倉さんを見かけたんですよー。花倉さん実家からのアクセス悪いから電車じゃなくてバスで通ってるって、前言ってましたよね?」
「あー……」
あくまで雑談の軽い調子で話す根本さんだけれど、対する私はなんて返したものか言葉に詰まった。
そうだよね、いずれ、バレることだったよね……。
まあとりあえず、引っ越したことくらいは話してもいいかなあ。
「うん。実は、ちょっと前に引っ越して……」
「あ、やっぱりそうなんだ。まっさか、彼氏と同棲だったりして~!」
「ぶっ」
「そうだったんですけどねー、途中から世間話になってどこで切り上げるべきか悩みました」
「あはは。根本さんて話しやすい雰囲気だから」
「え~長話は困りますー」
会話しつつも、テーブルを挟んだ彼女と向かい合わせになるパイプ椅子に腰かけた。
弁当箱を入れている巾着袋の紐をほどいていると、前方からやけに視線を感じて顔を上げる。
「根本さん? どうかした?」
「花倉さんって、もしかしてお家引っ越されたんですか?」
「えっ」
予想外の質問に、思わず固まってしまった。
根本さんはコンビニで買ってきたらしいサンドイッチのパッケージを開けながら、さらに続ける。
「今朝、駅前通りかかったときちょうど駅から出てきた花倉さんを見かけたんですよー。花倉さん実家からのアクセス悪いから電車じゃなくてバスで通ってるって、前言ってましたよね?」
「あー……」
あくまで雑談の軽い調子で話す根本さんだけれど、対する私はなんて返したものか言葉に詰まった。
そうだよね、いずれ、バレることだったよね……。
まあとりあえず、引っ越したことくらいは話してもいいかなあ。
「うん。実は、ちょっと前に引っ越して……」
「あ、やっぱりそうなんだ。まっさか、彼氏と同棲だったりして~!」
「ぶっ」