L*O*V*E
「昨日はこの辺りでバッタリ遭遇したよね。」
広いキャンパス内。
こんなとこで出会う確率なんて…
と思った、その時。
「い、いた…」
遠くからこっちに向かって走ってくる涼くん。
すっごい一生懸命走ってくるものだから、やっぱり胸がきゅんとする。
ドキドキしながら待つと…
「ごめん、待たせた?」
私がいるここよりもはるか遠くで、涼くんは立ち止まり…
そこにいた女性に微笑みかけた。
その人は後ろ姿で顔が見えないけれど…
間違いない。
あの人が…涼くんの彼女。
「あの人が彼女なのかな…。どんな顔してんだろ!」
「意外に大したことない人だったらどうする?そしたら真夕、奪いに行け!」
めちゃくちゃなことを言う友人の隣で、私は息を飲んだ。
だって…
合流した二人が、こっちに向かって歩いてくる気配がしたから!!
勇気がなくて、思わず下を向いた。
…すると。
私が俯いていたからか、涼くんは私の存在に気づかなかったみたいで、通り過ぎて行った。
だけど、私は気づいてしまった。
…涼くんの彼女のことを。
だって今、すれ違う時に聞こえちゃったもの。
涼くんが『さくら』って呼んだのが…。