L*O*V*E
本の陳列をしていたら、別のバイトの先輩が隣で作業をしていたので、涼くんと桜さんのことを聞いてみた。
「ああ、あの二人?結構前から付き合ってるよ。私、あの二人より前からバイトしてるんだけど、たまたまあの二人が同じ日にバイト始めて。同じ大学だし同じ学年だしで、意気投合したんじゃない?」
「そうなんですか。」
もし私が、同じ学年で同じ日にバイト始めてたら?
そしたら、涼くんは私と付き合ってたのかな。
そんなことはないって思うのに、心の底では自分の都合のいいように妄想してしまう。
すると、バイトの先輩が思い出したように言った。
「ああ、でもあの二人。二人ともルックスあんなじゃない?だから、よく告白されたり言い寄られたりしてるみたいで、それでケンカしてることもあるみたいだよ。」
「ケンカ…あの二人が?」
優しそうな涼くんと桜さん。
とてもケンカするようには見えないけれど…
そう思いながら別の棚の陳列に行こうとした時、桜さんがお客さんに、まさに言い寄られている場面を目撃してしまった。