L*O*V*E
「お姉ちゃん…両想いになるのって、難しいんだね…」
その日の夜。
少しずつ元気を取り戻しつつある佐里お姉ちゃんに、こんなことを言ってしまった。
傷口に塩を塗るようなこといけないって思うのに、この辛い気持ちを誰かに話さないといられなかった私。
そんな私に対して、お姉ちゃんは力なく微笑んだ。
「…そうね、難しいわね。思う通りにいかないこと、たくさんあるよね。」
「うん…苦しいもん…」
片想いって、こんな辛いもの?
こんな苦しいもの?
だったらもう、ハッピーエンド以外の恋なんてしたくないよ…。
そう思っていたら。
「でもね、真夕。片想いは辛いことばかりじゃないよ?その人に恋しててよかったなって思うことない?…少なくとも私は、恋してる自分のこと少しだけ好きになれたよ。」
「お姉ちゃん…」
未だに、お姉ちゃんが離婚した理由がわからない。
私みたいな子供じゃ理解できないレベルなんだろうけど…
そんなお姉ちゃんが言ってくれた言葉。
私も、涼くんを好きになった自分を、好きになれるかな…?
「真夕はまだまだ若いんだから、いっぱい恋して、どんどん素敵になれるチャンスがあるわ。だから、がんばって。」
「…うん。ありがと、お姉ちゃん。」
そうだ。
きっとこの恋は、自分磨きのためのもの。
涼くんに恋してよかったと思えるようにするんだ。
「よーし!がんばろ!」
「うん。その意気!」
片想いって、実らないと辛いけど、振り返ればきゅんとしたりドキドキしたことの方が多いんだもん。
いつか漫画のようなハッピーエンドを迎えられるような恋をするために…
今はただ、前に進もう。
【おわり】