L*O*V*E
「えっ、部長まだそんな健全なお付き合いされてるんですか?」
「お前みたいなエロ男と一緒にすんな!」
「エロ男って…」
次の日。
聞いた俺がバカだったのかもしれないが。
北原に、紗英との関係を一歩進められない悩みを打ち明けた途端、この返しだ。
「やっぱりどうしても引っかかってんだよな、歳の差が。もちろん俺は結婚したいし、子供もほしいけど…紗英はこの先、もっと若い奴の方がいいのかとか…オヤジはいろいろ悩むんだよ。」
屋上でコーヒーを飲みながら、北原に悩みを打ち明ける。
北原もコーヒーをぐいっと飲み干し、空を見上げながら言った。
「その歳の差、気にしてるの部長だけじゃないですか?瀬尾はそんなこと、少しも思ってないと思うけど。」
そうだと、俺も思っている。
紗英が俺を好きなことも、すぐ顔に出るからわかるんだ。
だけど、どうしても一歩踏み出せないのは、俺自身が臆病になっているから。
この歳になって新しい恋愛を始めることは、嬉しい反面…慎重になってしまうんだ。
紗英のことは信じてるはずなのに…
いつか紗英が、もっと若い魅力的な男が現れた時に、そっちに行っちゃうんじゃないかって…
そんな馬鹿げたことを思ってしまうんだ。