L*O*V*E
適度にのしかかる健斗の身体の重みが、包み込まれている気がして心地よい。
一つになる瞬間、手をぎゅっと繋いでくれることで安心感を得られる。
そして…
健斗の腕枕に包まれながら、健斗にくっついて目を閉じるこの時間が、何よりも幸せを感じる瞬間だ。
前までは、この時間は一番苦しくて。
ワイシャツに袖を通しネクタイを結ぶ健斗の後ろ姿を、何度見ただろう。
“私は大丈夫だから”ってホテルの部屋から彼を見送って、その後一人で涙を流した日が何回あっただろう。
それでもその時は、そのひとときが幸せだと思っていたけれど。
朝までずっと一緒にいられる幸せをこうして覚えてしまった今、もうあの頃には戻れないと感じてしまう。
「…由奈?眠れない?」
いつの間にか、健斗の目がぱっちりと開いていた。
「ううん。幸せすぎて、眠るのがもったいないなぁって。」
そんな私を健斗はぎゅっと抱き寄せる。
「………愛してるよ。」
突然の言葉に、胸がキュッとなる。
鼻の奥がツンとする。
「ずっと一緒にいような。」
「……うん。」
誰よりも優しい健斗に優しく包まれながら、私の気持ちも優しくなるのだった。