L*O*V*E

「…え?」



「北原だって、岬の姿がないとキョロキョロしてんぞ?心配なんだって。目を離した隙に、他の社員に言い寄られてるんじゃないかって。」




健斗がそんなことを…?




心配なのは、私の方なのに。




「ま、男なんて弱っちいからな。岬、北原のこと頼むぞ〜!」




不倫していた私たちのことを一切軽蔑することなく接してくれる部長。



そんな部長に、悩みを打ち明けてみた。





「あの、部長…私、まだ紗英に課長とのこと言えてなくて…。」




「ふーん。…なんで?」



部長の顔を見れなくて、うつむいたまま答える。



「紗英との関係が変わってしまうんじゃないかって思って…」



ぎゅっと目を瞑る。



すると、しばらくの沈黙の後…






「岬も案外、不器用なんだな。」



そう言って、部長は笑った。

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