L*O*V*E

「あのね、ずっと紗英に言わなきゃって思いながら、隠してきたことがあるの。」



「うん。」




「私…北原課長と付き合ってる。………課長が結婚してた時、から…」




やっぱり怖くて、俯きながら打ち明けた。




声が震えて、泣きそう。




すると…




フワッと暖かいぬくもりに包まれたと思って目を開けると、紗英に抱きしめられていた。




「由奈、辛かったよね…。ずっと一人で抱えてたの?力になってあげられなくて、ごめんね…!」



「…紗英っ……!」




バカだな、私。



なんでもっと早く、紗英に打ち明けられなかったんだろ。



紗英は、軽蔑するような人じゃないって…



なんでもっと早く、信じられなかったんだろ。



自分の心の弱さと、紗英の心の広さ。



それを痛感していると、紗英が私を身体から離して、ニッと笑った。




「課長のモテモテっぷりにヤキモチやいてるんじゃないのお〜?」




「紗英に言われたくないよー。紗英だって、部長に話しかけてる女子社員いると、泣きそうになってるじゃない。」



「あはは!私たち、イケメン彼氏持つもの同士、大変だね!」



「ふふ、そうだね!」




心がスッキリ軽くなった瞬間だった。




部長と紗英と、そして…



「お待たせー!お前らの話題の主役、呼んできたぞ〜!」



「え、主役?何すか、それ??」



…健斗のおかげ。
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