L*O*V*E
「もう!課長、由奈のこと幸せにしてあげてくださいね!!」
紗英のセリフに、ようやく健斗は“話題の主役”の意味がわかったようで…
「ああ、もちろん。約束する。」
そう言って、私をちらっと見て微笑んだ。
「よし!んじゃあ、ダブルカップルでプロジェクト進めてくぞ〜!」
「おー!!」
部長と紗英の息のあった掛け合いに、私と健斗は大笑い。
今日ほど楽しい日はないってくらい、充実した時間を過ごすことができた。
仕事が終わり、健斗とタクシーに乗る。
すると、健斗が私の手をぎゅっと握りながら言った。
「瀬尾に話してくれたんだな。」
「うん。部長が背中を押してくれたおかげ。」
私もその手を握り返す。
「部長かあ。やっぱあの人、カッコいいなー。」
「ふふ。ちょっと怖かったけど、ちゃんと言えたよ。偉い?」
「偉い、偉い。」
頭をポンポンしてくれるその仕草に、心がフワッとなる。
今なら…渡せる。
そう思い、ずっとずっと渡せなかった合い鍵をカバンから取り出した。