L*O*V*E
「健斗…これ、ずっと渡せなかった合い鍵。もらって…くれる?」



健斗の手の平に合い鍵を乗せると、それをぎゅっと握りしめてくれた。




「…すげー嬉しい。これ、早速今日から使いたいんですけど…いいですか?」



妙に他人行儀な健斗に、思わず笑ってしまう。



「もちろんです。ずっと一緒にいたい…ですから。」



合い鍵を握りしめた健斗の左手に、自分の手を重ねる。



すると健斗が、タクシーの運転手さんに聞こえないように、耳元で小さく囁いた。




その言葉に、赤面してしまう。



「ね、いいでしょ。合い鍵記念ってことで。」



「記念って…」



火照った顔を手で覆う頃には…





「お客さん、着きましたよ。」





我が家に到着してしまった。




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