L*O*V*E
「部長…本当に申し訳ありませんでした!!」




こんなにも頭を下げたのは、人生で初めてだった。




早く消えてしまいたい…そんな思いに駆られた時だった。







「…何でこんなミスが起きたかはわかる?」






部長がメガネを中指で上げながら私を見た。






「はい…最後のこの計算の所を…一行見間違えたのが原因です。それを提出前に最終チェックしなかったのがいけませんでした…。本当に申し訳ありませんでした!!」






再びガバッと頭を下げた。





どんな罵声を浴びせられるか…




はたまた、静かに説教されるのか…





目をつぶって、身構えた。








すると…





「…よし、偉いぞ瀬尾!!ちゃんとわかってるじゃないか。だったら、これからは同じミスがないように防げるな?」





予想外の言葉に、絶句してしまったのを覚えている。





「いいか?瀬尾。人間誰しもミスはする。完璧な人間なんていないんだ。俺が求めてるのは、一度の失敗を学ぶ人間だ。同じミスを繰り返さない人間だ。瀬尾だったら、俺が理想とする人間になれそうだな!!」





そう言って、部長は笑ったんだ。





その瞬間、胸がキュンと鳴った。




その笑顔が、言葉が…




私のミスを救ってくれた。






「瀬尾なら大丈夫。頑張れ!!」





そう言って、最後に背中をポンっと押してくれた部長。






それと同時に、私の恋が走り出したんだ。


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