L*O*V*E
「…さて、そろそろ帰るか。」
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。
パソコンの電源を落とし、今日何度ついたかわからないため息をつきながら立ち上がった。
すると、佐伯部長がカバンを持ちながら言った。
「瀬尾、家どこ?送ってくよ。」
「えっ!?いいですいいです、一人で帰れます!!」
それは嬉しいけど、さすがに申し訳なさすぎる!!
そう思って断ったのに…
「さてはお前、俺のこと警戒したな?独身だからって…」
「えっ、そんなつもりは…」
「ははは。冗談だよ、冗談!!…若い女性が夜道歩くなんて危ないだろ?送らせてくれよ、な?」
部長のジョークに流されて、結局送ってもらうことに。
でも、すっごく嬉しい。
まだあと少しだけ、部長と二人っきりでいられる。
少し肌寒い夜道を、二人ならんでゆっくり歩く。
心地よい時間。
一分一秒でも長く一緒にいたいから、つい歩幅を狭めてしまう。