L*O*V*E
「佐里!!」



会社の自動ドアを出ようとしていた佐里を引き留める。




「健斗ごめんね。会社まで押しかけちゃって。でも…働く姿、素敵だった…。」




「あ、ありがとう。あのさ、佐里…」




息を切らしながら話す俺を見て、走って追いかけてきたんだとわかったんだろう。



佐里が嬉しそうに俺を見た。




「健斗、一緒に帰…」




「ごめん。部下はああ言ってくれたけど、やっぱり部下より先に帰るわけにはいかないからさ…。遅くなると思うから、夕飯はいいや。気をつけて…な。」



俺の言葉に、佐里はパッと笑顔を消した。




「そ…だよね。うん、わかった。お仕事頑張ってね。」




ごめん、佐里。



そう心の中で謝り、会議室に戻ろうとした時。







「……優しい部下なのね。」





そう、佐里が呟いたのがハッキリと聞こえた。





ただ、ひたすら聞こえてないふりをして、エレベーターに乗り込んだ。





今の言葉…





それに、20時すぎになってわざわざ書類を届けに来る意味…





「まさか…な。」



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