L*O*V*E
翌朝、昨日と同じスーツで由奈の家を出た。



由奈よりも30分早く出勤し、携帯を見る。




着信が30件。



メールも、同じような内容のものが…15件。




全て、佐里からのものだった。





オフィスの廊下で、佐里に電話をかけた。





『もしもし健斗!?無事なの?昨日は一体どこに行ってたのよ!』




大人しい佐里にしては、声を荒げてる。




…って、当然だよな。




「ごめん。昨日、残業のあと飲みに行って…俺潰れちゃって…部長の家に泊まったんだ。携帯も会社に置き忘れちゃって、連絡が今になっちゃって……本当ごめん。」




我ながら呆れた言い訳だ。




佐里がこんなの信じるはずもないが…ただ、彼女はこう言うだろう。




『そうだったの…無事でよかった。今日は早く帰ってこれる?』




ほら。





一度だって俺のことを責めたことがない佐里。





「ああ、今日はなるべく早く帰るよ。」





こんなの、本当に上辺だけの関係だ。






通話を終え、ふうっとため息をつくと…








「だーれが俺ん家に泊まったって?」





「さ、佐伯部長っ…」






聞かれてはいけない人に、話を聞かれてしまっていたことに気づく。

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