L*O*V*E
「どういうこと?」
俺の知らない、あの日の事故の真実。
それが今、紐解かれていく。
こんな…カタチで。
「健斗を跳ねた人、捕まってないよね?そりゃあそうよ。父が揉み消したんだから。」
「お義父さんが…?」
そしてその真実は、俺の想像を遥かに超えるものだった。
「…父が会社の副社長だったでしょう?だから、私はいわゆるお嬢様扱い。当時、私立の高校に通っていて、毎日父の秘書が車で送り迎えしてくれてたの。そしてあの日…」
「その秘書が…俺を?」
顔を歪めながら、佐里がコクンと頷いた。
「ものすごい音と衝撃で、何かを跳ねたのはわかった。急いで車から降りたら、健斗が…。私は咄嗟に父に電話をした。そしたら父が、全てはわたしに任せろって。とりあえず通行人のふりして救急車を呼んで、会社に来なさいって…」
それで佐里は、近くの公衆電話から救急車を呼び、秘書と共にお義父さんのところへ向かった…ということだった。
「ずっと嘘をついてたのは私。あなたを好きになって、振り向いて欲しくて、この事故を利用した。最低なのは…私よ。」
「……じゃないよ。」
「え…?」
「佐里は、最低じゃない。少なくとも俺は、佐里の電話で救われたんだ。こうして今、生きている。」
俺の言葉に、佐里は声をあげて泣いた。
辛かったよな、佐里。
ずっと嘘を重ねてきて、しんどかっただろう。
「だから…ありがとう。」
泣きじゃくる佐里を見つめながら、そう呟いた。