片恋スクランブル
「心配しなくても大丈夫ですよ?私結構強いんですから」
失恋で凹んでばかりいられないよ。
前に進まないといけないんだから。
私だって大人なんですから、失恋の痛みくらい、うまく隠して見せますよ。
そう思いつつも、何故か御園生さんだけにはうまく隠せないのはどうしてなのかな……。
「そうだな、これからは……大丈夫だよな」
そう言って御園生さんは笑ってくれた。
今迄にも何度も見てる。
その度に救われてきたところもある彼の優しい笑顔が、今日は何故か、酷く寂しく感じてしまった。
*
既にこの時期定着しつつある、ラウンジでのココアタイム。
私は紙コップに注がれたココアを冷ましながら飲んでいた。
今日辺り、八木さん、菅谷さんに告白するのかな……。
あの日から1週間。
なんの変化もなく、1日1日が過ぎていった。
でも、昨日白川さんを見掛けた時かなり機嫌が悪かったから、多分八木さんが彼女と話したのかと思ったんだけど。
ランチタイムには、再び八木さんの顔を見るようになった。
「橘さん」と声をかけてくれて、他愛ない話もしてくれる。
それだけで心にポッと灯が点った。
やっぱり八木さんの笑顔っていいなって思えた。