片恋スクランブル


私に似てるって、このサル?

相変わらず、失礼な人なんだから!

文句言う気も、失せるよ。

でも……可愛いや。

おサルの縫いぐるみを指先で、ムニムニ触りながら、ふと気付いた。

なにか、固いものがおサルのお腹で触れる。

よく見ると、背中にチャックが着いている。

開けて、指を入れてみた。

「え……?」

指先に引っ掛けたものを取り出した。

シルバーの……ブレスレット?

「……お前に、似合うと思ったんだよ」

隣を見ると、真っ赤な耳の御園生さんが照れ臭そうに呟いた。

もしかして、こっちが本当のお土産?

手の中でシャラリとブレスレットが音をたてる。

どうして、私にわざわざお土産なんて……?

なんだか、無性に恥ずかしかった。

恥ずかしいのに……なんでだろう。

それと同じ位に、嬉しかった。

本当はもらえない。

でも、また「返されても困る」って言うんだろうな。

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