片恋スクランブル
痛いキス
「きゃあっ!」
案の定捕まって、無理矢理動きを止められる。
「もうヤダ。」
「……同情ってなんだよ!」
……え?
「お前は、今まで俺がしてきたこと全部、同情だと思ってたのかよ?」
怒っていた。
顔を真っ赤にさせて肩で息をしながら、御園生さんはこれ以上ないくらい怒っていたんだ。
「だって……」
だって、そうでしょう?
服やコンタクトを買ってくれたり、八木さんとの事を協力してくれたり、相談に乗ってくれたり。
あの二人が付き合うことになったら、気分転換に連れ出してくれたし。
他に好きな人がいるのに、いつもいつも私なんかの事を気にして、自分の事はいつも後回しで……。
「同情以外のなにものでもないでしょう?」
「……来いよ、」
「えっ」
「いいから、来い!」
有無を言わせない迫力だった。
正直、普段の俺様な時より、怖い。
逆らう事すら出来ず、御園生さんの後をただ必死で追った。
向かっているのは……多分車を止めた駐車場だと思った。
車で帰ろうとしてる?
「み、御園生さ……私タクシー……」
最後まで言わせず、ギロリと睨まれた。
青いスポーツカーの助手席の扉を開け、御園生さんは私をドンと突き飛ばした。
「御園生さん?」