片恋スクランブル
「うん。……言って?……舞夏の気持ちを聞かせて欲しい」
優しい声音。
そして今までの、どの御園生さんより優しい目で、見詰められる。
……御園生さん?
急に胸の辺りが苦しくなってきた。
ついさっきまで寒くて仕方なかった筈なのに、今は熱い。
御園生さんが触れている部分から、熱が広がる。
「あの……」
伝えたいのに。
たった一言なのに。
声にならない。
「同情なんかじゃないの……」
やっとのことで出した声は、喧騒に掻き消されてしまいそうだった。
それでも、続けた。……必死に。
いつもそばにいてくれた。
力になってくれた。
励ましてくれた。
好きだと言ってくれた。
気付くのが遅くなったけど。
たくさん傷つけてしまったけど。
「……き」
喘ぐように紡ぐ言葉は掠れて、うまく言葉にできない。
これじゃあ伝わらない。
ダメ……。
ちゃんと言わなきゃ。
思い直して、口を開く。
たった一言を伝えるために。
たった一人大切な人に。
「すきなの……っ、
御園生さんのことが好きっ!
好き……。
御園生さんが好きな…………」