片恋スクランブル
片恋スクランブル
改札を抜けて、タクシー乗り場に向かいながら御園生さんは、ハア……と溜め息を付いた。
御園生さん?
溜め息の理由が分からず、彼を見上げて首をかしげた。
「舞夏、走れ……ねぇな?その足じゃ」
走る?
「急いでるんですか?」
不思議に思い御園生さんに尋ねると、彼は「参ったな」と呟いた。
さらに意味不明。
そう言えば、告白の返事ももらってない。
今、聞いてもいいのかな?
タクシー売り場にはかなりの列ができていた。
その最後尾についた後、御園生さんは周りを見回した。
本当に、おかしいよ。一体なんなんだろう?
「舞夏、悪い。後でちゃんと説明するから」
言うなり、御園生さんはタクシーの列を抜けて走り出した。
私をヒョイ、と担いで。
「ひゃあっ……?」
突然私を担いで、走り出した御園生さんの頭を抱くようにして、私は彼につかまった。
ビルとビルの隙間に入った後、御園生さんは私を下ろして息をついた。