片恋スクランブル


それじゃあ……。

ホームでウロウロしていた姿とか、

御園生さんに抱き抱えられたこととか、

告白とか、

そういう諸々の一部始終を、あの3人に全て見られていたということなの?

誰か嘘だと言って欲しい。

あんな恥ずかしいところを見られていたなんて……。

顔が熱い。

きっと真っ赤になっている顔を両手で隠してうずくまる。

「舞夏?」

御園生さんの声が頭上で聞こえていたけれど、顔をあげることは出来なかった。

だって、恥ずかしすぎる。

「教えてくださいよ~」

御園生さんは悪くないのに、泣き言をいってしまう。

「いや、その……無理だろ」

無理だと言われて、どうして?と聞きたかった。

顔をあげると、同じ目線の高さで御園生さんがしゃがんでいてちょっと驚いてしまった。

「み、御園生さん?」

「……気付いてたよ、アイツらには。でも、目の前にお前がいて、俺の名前呼んで俺に向かってくるの見てたらさ、アイツらなんてどうでもよかった。」

淡々と言われたせいで、なにかスゴいことをサラッと言われたことに、私は気付かない。

「どうでも……って」

それどころか、投げやりな言葉に聞こえて反論する。

どうでもよくないよ。

あんなカッコ悪い告白を他人に晒してしまうなんてありえないよ。

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