片恋スクランブル
「……謝らなくていいんだ」
御園生さんの真っ直ぐに私に向かう視線は、真剣なものだった。
「……本当に、夢じゃないんだよな」
私に問いかけるというよりは、言葉にして自分に確認しているみたいに聞こえた。
そして、その表情は微かに笑顔まで浮かんでいて……。
見ているうちに、恥ずかしくなってきた。
私のことで、笑顔を見せてくれる彼を見ることが、こんなに嬉しくて、照れくさいものだなんて……。
「舞夏……?」
「はいぃっ?」
あ、変な返事しちゃった。
御園生さんも不思議そうな顔をしている。
だって、無性に恥ずかしいんだもの。
「どうした?」
ほらほら、御園生さんだっておかしいと思ってる。
普通にしなきゃ。
「いェッ……別に、なんでもないですヨ?」
うわぁ……、もう口を開きたくない。変なことばかりいってしまう。
普通に、普通に……。
普通って?
今まで、御園生さんとどんな風に話していたっけ?
焦れば焦るほど、『普通』が分からなくなってきた。
「…………ぶっ!」
『ぶっ!』……?
吹き出すような声が聞こえた。
しかも、目の前から。