片恋スクランブル
「だって……」
切ないよ。
御園生さんの想いが……。
「舞夏、余計なこと考えんな。」
余計なこと?……なのかな。
戸惑う私の頭を、御園生さんの大きな手がポンポンと跳ねる。
テーブルに片肘をつき、首をかしげて「ん?」と御園生さんが笑う。
こうやっていつも、私の気持ちを軽くしてくれる。
こんな風にいつも、結局甘えてしまうんだ……彼に。
いいのかな?
いつも、いつも、甘えてばかりの私で。
許されるのなら……。
この罪悪感みたいな気持ちごと甘えてしまっていいのなら、私はこれから御園生さんを精一杯幸せな気持ちにさせてあげたいと思った。
そう言えば。
私は御園生さんに好きだと言った。
御園生さんも、私の事を……。
だとすると、
えと。
「あの、私達って……」
「ん?」
うぁ、そんな優しい目で見ないで欲しい。
ぐだぐだに甘やかされてる気分になっちゃう。
念のために、私たちの関係を確認しておきたかったのだけど。
どう言えばいいのか、分からない。
「舞夏、どうした?」
真っ直ぐに私に向かう御園生さんの目は、ひたすら優しくて、甘くて……。
あえて確認する必要があるのかと思うくらい。
だから、もういいかなって思った。
こんな甘々な御園生さんを、これ以上見てるのは、心臓に悪いから。
「いえ、なんでもないです」
言って私は、残りのココアを一気に飲み干した。