片恋スクランブル
epilogue
「舞夏、家まで送る」
喫茶店を出るなり、御園生さんの手が目の前に差し出された。
えと、これは……。
思わずその手をじっと、見つめてしまった。
だって、どういう意味かな?とか考えてしまったから。
今までの御園生さんなら、有無を言わさず、手をとったり、肩を抱いたりしてたから。
私から動く……的な状況にされると逆に戸惑ってしまう。
手を差し出すべきなのかな?
何か他に意味があるのかな……って、私ってば考えすぎだよ~!
「面白いから、黙って見ていたいけど、風邪引くからなこのままじゃ」
そう言って、固まったままの私の手をギュッと御園生さんは握った。
ほら、やっぱり私の反応見て楽しんでた!
「舞夏、怒るなよな?」
「人の反応見て遊ばないでくださいよね、」
ぷぅ……っと頬を膨らませた私を見て御園生さんは、イタズラを叱られた子供みたいにシュンとなる。
勿論、それが演技だとちゃんと分かってるけど。