片恋スクランブル
epilogue


「舞夏、家まで送る」

喫茶店を出るなり、御園生さんの手が目の前に差し出された。

えと、これは……。

思わずその手をじっと、見つめてしまった。

だって、どういう意味かな?とか考えてしまったから。

今までの御園生さんなら、有無を言わさず、手をとったり、肩を抱いたりしてたから。

私から動く……的な状況にされると逆に戸惑ってしまう。

手を差し出すべきなのかな?

何か他に意味があるのかな……って、私ってば考えすぎだよ~!

「面白いから、黙って見ていたいけど、風邪引くからなこのままじゃ」

そう言って、固まったままの私の手をギュッと御園生さんは握った。

ほら、やっぱり私の反応見て楽しんでた!

「舞夏、怒るなよな?」

「人の反応見て遊ばないでくださいよね、」

ぷぅ……っと頬を膨らませた私を見て御園生さんは、イタズラを叱られた子供みたいにシュンとなる。

勿論、それが演技だとちゃんと分かってるけど。

< 157 / 159 >

この作品をシェア

pagetop