片恋スクランブル
唖然とする私の前でしこたま笑い飛ばした御園生さんは、両の目尻から流れた涙を拭き取りながら、私に言った。
「なんか、期待させて悪いけど……」
言いながら、携帯を取りだし、メールの受信画面を私に見せた。
その画面に見入った私は、メールを読み終える頃には頭の先から、足の先まで真っ赤になる羽目になってしまった。
画面には、菅谷さんからのメールで『いつもの居酒屋で待ってるからね!二人でちゃんと報告に来なさいよ!』と書かれてあった。
つまりは、さっき撒いた三人からの召集命令なわけで。
私が、想像したことではなく、純粋にみんなに会いに行こうということだったんだ。
「もぉっ!意味深な言い方しないでくださいよぉ!」
肩を奮わせて笑う御園生さんに向けて、訴えたけれど彼は軽くいなして私の頭をボンポンと叩くだけで。
私一人だけがアワアワするに至ったのだった。
多分、御園生さんはこうやって小動物が慌てる姿を見て楽しむSなんだっ。
泣き言を頭の中でこぼしながら、なおも笑い続ける御園生さんの背中を私は思いきり叩いてやった。
でも。
甘すぎる御園生さんばかりじゃ心臓もたないから、こっちの御園生さんの方が安心するって言ったら。
御園生さんどう思うかな……?
【完】