片恋スクランブル
「あら、やだ。ライバル応援してる場合じゃないのよね。橘ちゃんって可愛いし油断大敵だ」
「……プッ、」
「あら、なぁに?そこ笑うトコロ?」
思わず吹き出してしまった私に、菅谷さんはキョトンとする。
「いえ、すみません……だって菅谷さん可愛いんですもん。年上の人に失礼ですけど。」
「フム、許そう。可愛いと言われて、怒るわけにもいかないわね」
私の背中をポンポン叩きながら、菅谷さんはすっかり上機嫌で。
席に戻るなり、中ジョッキを持ち上げ一気飲み。
挙げ句ワインや酎ハイを追加注文しはじめた。
*
「……飲みすぎだ、バカ」
あれからハイペースで飲み続けていた菅谷さんは、ものの1時間でダウンしてしまった。
テーブルに突っ伏した彼女に御園生さんがあきれた様子で呟く。
「だ、大丈夫なんでしょうか」
早く止めればよかった。
顔色変えず飲んでいくから、てっきりお酒強いんだと思ってたら急にパタンって寝ちゃうから。
「……そろそろ、お開きにするか」
言いながら菅谷さんの肩を揺さぶる御園生さん。
「ん~、もぉ飲めない……」
寝ぼけちゃってるし。
「いいよ、御園生」
不意に八木さんが立ち上がり、菅谷さんの隣に来た。