片恋スクランブル
私の部屋
チチチ……。
チリチリチリ……。
ん……携帯の目覚ましなってる。起きなきゃ。
ボンヤリした頭で考えながら、私は手を伸ばし頭元に置いてあるはずの携帯を探した。
フワリ、指先に触れたものはなんだか柔らかくて。
なんだっけ?
重い頭を起こして、目を擦る。
「??????」
まずぼんやりとする視界に写ったのは、腕だった。
私の腕じゃないのは明白で。
ええっ?
混乱する思考。
視界をクリアにするために、眼鏡を探す。
あった。
テーブルに置いてあった眼鏡をかけて、辺りを見回した。
あ……。
思い出した。
ワイシャツの袖口から覗く、程好く焼けたがっしりとした腕。
ネクタイをはずし露になった鎖骨。
さっき触れた柔らかいものの正体は、サラサラの黒髪だ。
私の部屋の私のベッドに、御園生さんが安らかな寝息をたてていた。