片恋スクランブル
「お前の部屋が寒いのが……悪い。」
今、目の前で私が入れたコーヒーを飲みながら、愚痴をこぼしているのは御園生さん。
あれから彼を起こすと、ばつが悪そうにしながらも。
相変わらずの俺様な態度で、コーヒーが飲みたいと言い出し、ワンルームの我が家のバスルームで顔を洗いさっぱりとした表情でベッドに座る御園生さん。
「だから、どうして私が隣に寝てたのかって思って……」
考えてみれば、めちゃめちゃ恥ずかしい。
ようは彼に抱かれて眠っていたと言うことで。
「私、確かこっちのソファーで寝てたはずで……」
「寒かったんだよ!」
はい?
「こんな毛布一枚で寝かされてたら風邪ひいちまう。」
そりゃ確かに?朝晩は冷え込みますよ?10月半ばなんですから。だから、貴重なベッドと毛布を貸してあげたんですけど?
「あれだ、そう湯タンポがわりだよ。……お前だって温かかったろ?」
そう言われて、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしくなった。
「ひ、人を湯タンポがわりに使わないでくださいっ、」
「……悪かったよ」
恥ずかしすぎて、涙が滲んできた。
そんな私の様子に御園生さんも今度は真面目に謝ってくれた。
「マジで悪かったよ。昨日はちょっと飲みすぎた。」
タクシーに乗せたはいいもののぐったりしている御園生さんは喋ることもできない様子で仕方なく私のアパートに連れてきたんだけど。