片恋スクランブル


「……二日酔いしてません?」

昨日に比べたら顔色もいいし、元気そうだけど。

「あぁ、平気だ」

「よかった。」

私も御園生さんに付き合いコーヒーを飲む。

「……き、昨日のことだけど」

不意に御園生さんが口を開いた。

「はい?」

「八木と菅谷は家が近いんだ。だから、大学の時も働きだしてからも、飲みに行って酔った時はアイツが連れて帰るのがいつもの事で。」

「はい……?」

「だから、別に気にしなくていいんだからな」

もしかして、昨日の事で励ましてくれてる?

……っていうか、御園生さん知らないのかな?菅谷さんの気持ち。

「……大丈夫ですよ」

菅谷さんが話さないのに、私が話しちゃダメだよね。

「そっか」

明らかに安心した様子の御園生さんに私は心の中で、ありがとうと言った。

でも。

もしかして八木さんも、菅谷さんのことが好きなんじゃないのかな?

みんなにとっていつもの事でも、八木さんが優しい人だとしても、あんな風に菅谷さんを大事に扱う姿を見せられたら、白川さんじゃなくても、もしかして、と思っちゃうよ。
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