片恋スクランブル


「今日は仕事より、みんなへの説明が大変な1日だったねぇ……」

帰り支度をしている私の側で花田さんは疲れた様子で言った。

「花田さんに迄迷惑かけちゃってすみません」

「いいのよぅ。普段なら人の恋ばな聞いてるのが楽しいんだけど、今日はさすがにお腹一杯だわ」

……と花田さんが笑った。

確かにお腹も胸も一杯だわ。今日は今すぐベッドに入りたい。

簡単に身支度を整えて、私は花田さんより一足先に会社を出た。

独り暮らしをしているアパート迄は歩いて15分位。

帰りにコンビニにより、簡単な夕食を買った後、家までの道を急いだ。

そういえばここのところ、会社帰りに御園生さんと会うことが多かったから、こんな風にまっすぐ家に帰れるのも久しぶりだと思った。

御園生さんと会うと、いつも慌ただしくて。

普段の私が送っている生活とは違う世界を見せられる。

私には刺激が強すぎるよ。

でも。

そんな世界にいる自分のことも実は嫌じゃないと思う自分もいるんだ。

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